2018年04月08日

黒と茶の幻想(上)

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講談社より¥714で発売中

<あらすじ>
美しい謎が去来する永遠の島を目指して

太古の森をいだく島へ――学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。

講談社HPより引用)


旅行先である屋久島の情景が目に浮かび、行ってみたくなります。
言ってしまえば男女四人の旅物語なのですが、そこは恩田陸。
現世から隔離されたかのような屋久島の風景と「美しい謎」と過去が不安定さを伴って、いい感じで物語にマッチしています。

4部から成り立つお話で、上巻は利枝子と彰彦の目線から物語は進んでいきます。

4人の間であった過去以外にも、それぞれが経験した過去の謎解きもあって退屈しません。
そして何よりこの4人のスマートな会話が好きです

最初はダラダラと読んでいたのですが、途中からハマり始めるとアッという間。
早く下巻が気になります。
posted by みづき at 13:45| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月16日

天国までの百マイル

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講談社より¥669で発売中

<あらすじ>
事業に失敗し最愛の妻子とも別れたダメ中年の城所安男。極貧の中で育ててくれた母の命を救うため天才心臓外科医のいる病院へひた走る
講談社HPより引用)


ちょうど読んでいるときに祖母が心臓を患って入院したとの知らせを受けたので重ねながら読みましたが、涙なくしては読めませんでした。
地下鉄の車内で、天一で、ココイチで、何度涙を堪えるために本を閉じたことか(笑)

バブルから一転して、倒産、自己破産、離婚を経験し、人生のどん底に落ちた末っ子の安男が、重い狭心症の母親を救おうと奮闘するお話です。

面倒見のいいマリや、義母思いの英子、藤本先生に、ドクター曽我。
いろんな形の愛を受けながら、安男自身も成長していきます。

バブル期に今と同じ状況であったなら、自分はここまでして母親を助けただろうかと自問する場面があります。
おそらくは見限っただろうと。
人の痛みが分かるようになって、初めて気付く幸せの意味。

マリの優しさに涙しつつも、前を向いて歩いていこうとする安男の姿が目に浮かびました。
posted by みづき at 16:09| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月30日

サウスバウンド

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講談社より¥972で発売中

<あらすじ>
父は国家権力が大嫌い。どうやらその筋では有名な元過激派で、学校なんて行くなと言ったり、担任の先生にからんだり、とにかくムチャクチャだ。そんな父が突然、沖縄・西表島に移住すると言い出し、その先でも大騒動に。父はやっぱり変人なのか? それとも勇者? 家族の絆、仲間の絆をユーモラスに描いた傑作長編。
講談社HPより引用)


奥田作品が続いてます。

こちらは688ページと長編です。
読み応えがありました。

小学6年生の二郎の視点から描かれる、ちょっとこ変わった家族の物語です。
家族がというよりも1番変わっているのはお父さん。
思想が偏っているけど、決して他社に強制するわけでもなく、自分の意志として責任を持って行動する姿はかっこいいです。

親がこうでも子供はしっかり育つようで、6年生にしては大人なように思えました。
いや、お母さんは普通だからかな。

第一部は東京編。
物騒な事件が起こったり、小学6年生が背負うには重すぎる日常で、二郎に同情をしながら読み進めました。
内容も明るくはないのでペースも遅かったのですが、それが一転して第二部の面白さ

第二部は移住先の西表島が舞台です。
一気に引き込まれて、西表島に行きたくなってしまいましたw(←単純)
どんな場所でも住めば都。
何不自由なく暮らしていた東京よりも、生き生きとしていました。
子供達もたくましくなって成長ぶりにほほえましくなります。

西表島でも騒動勃発になりますが、つい涙が・・・。
そこまで感情移入できました。

素敵な家族に出会えて楽しませてもらいました
posted by みづき at 13:53| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月11日

空中ブランコ

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文芸春秋より¥604で発売中

第131回直木賞受賞

<あらすじ>
伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が……。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾!
文芸春秋HPより引用)


「イン・ザ・プール」の続編です。

相変わらず憎めない伊良部先生。
この人にモラルは通じません。
行動は可笑しくても、言ってることは正論で思わず納得してしまいます。
そんな私は立派な伊良部信者かもしれません。

今回は色んな職業にまつわるお話しも多かったです。
それぞれが色んな悩みを抱えていて興味深く読めました。
彼らの心が解放されると、なぜかこちらまで爽快感を感じられるので不思議です。
まるで自分の悩みも解き放たれたよう。

悩んだ時は伊良部シリーズを読むだけで、元気になれそうです。

もちろん第三弾の「町長選挙」も読むつもりでいます
posted by みづき at 18:41| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月01日

残穢

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新潮社より¥637で発売中

第26回山本周五郎賞受賞

<あらすじ>
この家は、どこか可怪しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が……。だから、人が居着かないのか。何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。かつて、ここでむかえた最期とは。怨みを伴う死は「穢れ」となり、感染は拡大するというのだが――山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!
新潮社HPより引用)


映画化もされ、先にそちらは鑑賞済みです。
ホラーの割には合理的で比較的面白かったのは覚えています。
結末もわかって読み進めましたので、正直怖さはなかったです。

ドキュメンタリー風の口調で書かれていて、怖がらせようという意図はなく、淡々と事実だけを書き連ねていくのが余計に怖さを倍増させています。

小野作品の「屍鬼」とは異質のジャンルです。

長い時間をかけて読んだので、登場人物の多さに頭が混乱します。
一覧表を作ってほしかったです。
映画の時は地図もあったので分かりやすかったですが、文字だけ見ると覚えられません。
最後にはこれがどこの誰だったかわからなくなっても、あきらめて調べることなく読みました。
それくらい多いです。

ですので、一気読みを推奨しますが、「家」にまつわるホラーなので、苦手な方はご注意を(笑)
家に帰れなくなりますよ。

身近に起こる怪奇現象をたどっていけば、より恐ろしい事件や事故が出てくる・・・という連鎖。
映画を観たときはどこまで掘り起こすんだろうと思っていましたが、原作を読んで納得。
結論もホラーらしさとはかけ離れていますし、映画とは違ったオチになっています。

「リング」を観たときはビデオを観ただけで感染するという感染力の強さに驚きましたが、今はネットの時代。
一瞬で全世界が感染する世の中になってしまうのでしょうか。
posted by みづき at 18:27| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月01日

空飛ぶ広報室

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幻冬舎より¥831で発売中

<あらすじ>
不慮の事故で夢を断たれた元・戦闘機パイロット・空井大祐。異動した先、航空幕僚監部広報室で待ち受けていたのは、ミーハー室長の鷺坂、ベテラン広報官の比嘉をはじめ、ひと癖もふた癖もある先輩たちだった。そして美人TVディレクターと出会い……。ダ・ヴィンチの「ブック・オブ・ザ・イヤー2012」小説部門第1位のドラマティック長篇。
幻冬舎HPより引用)


ついニヤニヤしながら読んでしまう有川作品。
こちらも、ほほえましい光景が想像できて、ついニヤけてしまいました。
544ページと長編なのに、ずっと読んでいたい作品でした。

観ていなかったけどドラマ化されたのは知っているので、頭の中の空井は完全に綾野剛。
でもリカはガッキーじゃなくて、北川景子かな?

自衛隊のことは詳しくないので、初めて知ることが多く勉強になりました。
舞台が広報室ということもあって、分かりやすく説明してもらえました。

不慮の事故でブルーインパルスのパイロットの夢を絶たれた航空自衛官が、広報室という新たな場所で自分を取り戻そうとする成長の過程が描かれています。

広報という仕事についても親しみが湧きました。
素敵なキャラの同僚たちとの仕事場の雰囲気まで伝わってきました。

それが有事の際には一変して見せる別の面。
文庫版には「あの日の松島」という加筆された作品が収められています。
ほぼノンフィクションだということが理解できたので、涙なしには読めませんでした。

淡い恋愛もあり、お仕事小説でもあり、いろんなパワーをもらえました。
posted by みづき at 15:39| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月21日

東京湾景

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新潮社より¥562で発売中

<あらすじ>
押し寄せる淋しさと愛おしさ。渇いた心を潤いで満たす奇跡のラブストーリー。

「愛してないから、こんなに自由になれるの」「それでも、お前と一緒にいたかったんだよ」。品川埠頭の倉庫街で暮らし働く亮介が、携帯サイトの「涼子」と初めて出会った25歳の誕生日。嘘と隠し事で仕掛けあう互いのゲームの目論見は、突然に押し寄せた愛おしさにかき消え、二人は運命の恋に翻弄される。東京湾岸を恋人たちの聖地に変えた、最高にリアルでせつないラブストーリー。

新潮社HPより引用)


久しぶりの吉田作品です。

こちら、数年前に月9でドラマ化されているのは覚えていたのですが、観ずじまいでした。
読み進めて行く中で、亮介役が気になりウィキペディアで調べましたが、そうでした。
韓流ブームに流されて、勝手に涼子が在日に変わり、プロデューサーの恋愛体験も交えた興味ない内容に変えられてこき下ろされてたやつでした。
よくあの内容でドラマ化OKしたもんです。

と、まぁ、あらすじは少し分かった状態で読み始めました。

品川埠頭とお台場が舞台になっていますが、お台場のきらびやかな世界観ではなく、少し寂し気な品川埠頭のコンテナ倉庫街というのが味があっていいですね。

出会い系サイトを通じて知り合った二人が真の恋人になれるか・・・といったお話しです。
二人の恋愛観よりも風景に魅了されました。
posted by みづき at 21:32| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月13日

海猫(下)

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新潮社より¥637で発売中

第10回島清恋愛文学賞受賞

<あらすじ>
広次と薫の恋は、壮絶な結末を迎えた。それから十八年後、薫の愛したふたりの娘は、美しい姉妹へと成長していた。美輝は北海道大学に入学し、正義感の強い修介と出会う。函館で祖母と暮す美哉は、愛してはいけない男への片想いに苦しむ。母は許されぬ恋にすべてを懸けた。翳を胸に宿して成長した娘たちもまた、運命の男を探し求めるのだった。女三代の愛を描く大河小説、完結篇。
新潮社HPより引用)


ようやく下巻も読み終わりました。

ネタバレになりますが、下巻は薫と広次の衝撃的な運命を迎え、その後は二人の娘の成長話がメインとなってきます。

薫の選ぶ道やその後の展開に期待していたのですが、突然の幕切れでした。
いきなりトーンも変わってしまい、戸惑いながら娘たちの章を読み始めました。

純粋に美しく育った娘なのに、生まれながらにして背負った罪や運命を受け入れて生きていく姿は悲しくもあり、たくましくもありました。
愛を知った女性は強くなれるんですね。

ただ、誰よりもたくましかったのはタミでした。
一人の人を愛し続け、人一倍苦労しながら激動の時代を生き抜き、子供達を育て上げたその生涯はかっこよかったです。

寒々とした極寒の地の舞台が物語と非常にマッチしていました。
北海道の美しい情景描写に、訪れてみたい気持ちになりました。
冬の凍てつくような寒さの中で燃え上がる愛が印象的でした。
posted by みづき at 18:32| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月02日

海猫(上)

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新潮社より¥594で発売中

第10回島清恋愛文学賞受賞

<あらすじ>
薫──。あなたの白雪の美しさが、男たちを惑わすのか。

女は、冬の峠を越えて嫁いできた。華やかな函館から、昆布漁を営む南茅部へ。白雪のような美しさゆえ、周囲から孤立して生きてきた、薫。夫の邦一に身も心も包まれ、彼女は漁村に馴染んでゆく。だが、移ろう時の中で、荒ぶる夫とは対照的な義弟広次の、まっすぐな気持に惹かれてゆくのだった――。風雪に逆らうかのように、人びとは恋の炎にその身を焦がす。島清恋愛文学賞受賞作。

新潮社HPより引用)


初読みの作家さんです。

ずいぶん前に映画化され、それはすでに鑑賞済です。
記憶力がよくないので詳細な内容までは覚えていませんが(笑)、伊東美咲さんが薫役で佐藤浩一さんが邦一役だったのは覚えています。

初読みなので、慣れていないせいか、少し読みにくかったです。
会話の突然次の行から、何の前触れもなく場面転換が行われ話が飛んでいきます。
もっと丁寧な説明があれば分かりやすいんですけど。

昭和三十年代の函館からさらに川汲峠を越えたところにある漁村のお話。
時代背景や風景は事細かに描かれ、まるで自分もそこにいるかのような臨場感があります。

夫婦のあり方、愛や性についての考え方、様々な男女の姿が描かれています。

主人公の薫は稀に見る美しすぎるほどの美女で、ロシアのクウォーター。
純日本人じゃないからこその透き通るような白肌や繊細な性格が絶妙にマッチします。
おそらくは、映画でのビジュアルが私の中で残っていて影響されている部分もあるんだと思います。

寒々とした情景描写と対するように、初めて愛を知って燃え上がる薫。

波乱の展開が予想できるところで上巻は終了でした。
下巻に続きます。
posted by みづき at 01:58| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月20日

エイジ

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新潮社より¥724で発売中

第12回山本周五郎賞受賞

<あらすじ>
14歳。中学生。同級生が「少年A」になった。キツいことだらけのチュー坊生活だけど……負けてらんねーよ。

ぼくの名前はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は、同級生だった――。その日から、何かがわからなくなった。ぼくもいつか「キレて」しまうんだろうか?……家族や友だち、好きになった女子への思いに揺れながら成長する少年のリアルな日常。山本周五郎賞受賞作。



またまた重松清さん。

「クラスメイトが通り魔」というショッキングな内容であることを知りながら読み始めていきましたが、事件はなかなか起こらず、中盤手前からやっと事件のお話しになります。

なぜ14歳の少年が通り魔を起こしたのかということに焦点をおいているわけではなく、たまたまクラスメイトだったエイジ少年の目を通して事件が描かれています。

読んでいて、一時期頻発した未成年による犯行を思いだしました。
私も当時同じ年齢だったので、ひとくくりにされることに反発していたのを覚えています。

少し大人っぽい気もするけれど、14歳という大人と子供の間の微妙な年齢の心境をうまく描いていると思います。

「キレる」の定義を重病人のチューブに例えて、うまく説明しているなぁと思いました。
他人にキレたことはないですが、きっとそういう感情なんでしょうね。

ただ、被害者が負った心の傷に比べて加害者少年の社会復帰が早すぎるのは何とも言えない気持ちになりました。
posted by みづき at 21:20| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月07日

黄色い目の魚

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新潮社より¥767で発売中

<あらすじ>
ひとりでは見えなかったこと、ふたりだと少しだけ見えてくる。だから今は一緒にいたいんだ。──16歳のふたり、かけがえのない物語。

海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンして以来、気がつくとみのりの表情を追っている。友情でもなく恋愛でもない、名づけようのない強く真直ぐな想いが、二人の間に生まれて――。16歳というもどかしく切ない季節を、波音が浚ってゆく。青春小説の傑作。

新潮社HPより引用)


初読みの作家さんです。

それぞれの幼少期のエピソードから惹かれていき、この二人はどうなるの?と思ったら、無事に高校で巡り会えました(笑)

高校生たちの葛藤が描かれた甘酸っぱい青春小説です。
同年代の頃に読むべきでしたね。
そしたら刺激を受けて私自身も変われたかもしれません。

私なら流されそうな状況でも、しっかりと自分を持って対処している姿がたくましかったです。
舞台が海辺の街ということもあって、余計に爽やかさが目立っていました。
posted by みづき at 20:41| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月26日

センセイの鞄

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文芸春秋より¥583で発売中

第37回(2001年)谷崎潤一郎賞

<あらすじ>
あわあわと、そして色濃く流れゆく大人の愛の日々

高校の先生と飲み屋で十数年ぶりに再会したツキコさん。七十代のセンセイとの淡き恋を描く、谷崎賞受賞のベストセラーの文庫化

駅前の居酒屋で高校の恩師と十数年ぶりに再会したツキコさんは、以来、憎まれ口をたたき合いながらセンセイと肴をつつき、酒をたしなみ、キノコ狩や花見、あるいは島へと出かけた。歳の差を超え、せつない心をたがいにかかえつつ流れてゆく、センセイと私の、ゆったりとした日々。谷崎潤一郎賞を受賞した名作。解説・木田元

文芸春秋HPより引用)


思っていたのと違〜う

積読本の中に埋もれていたので何に惹かれて読もうと思ったかははるか昔のことなので記憶にないのですが、タイトルから察するに女子高生が先生に恋する淡い初恋物語だとばかり思っていました。

が、全然違っていました。

が、まず年齢が違う。
高校を卒業してから十数年ぶりの再会で、妙齢の女性と70代の高校の恩師。
しかも酒を酌み交わしながら進んでいくお話。

そしてプラトニックじゃな〜い。
二人のゆっくりと流れていく時間が心地良くて読んでいたのに、いつの間にか恋愛関係に・・・。

お話しの流れやセンセイの言葉や最後の締めくくり方は好きなんです。
が、実写を想像できないし、したくない。

私ももう少し大人になれば(←すでにツキコさんとそう年齢の違わないおばさんですが)、良さが分かるのでしょうか?
posted by みづき at 16:48| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月18日

クラインの壺

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新潮社より¥680で発売中

<あらすじ>
ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は……。現実が歪み虚構が交錯する恐怖!
新潮社HPより引用)


30年近く前の作品ですが、何の違和感もなく読むことができます。
と言うより、描かれている内容は今話題のVR。
その構想がすでに30年も前から出来上がっていたことの方が驚きです。

当時読んだ人からは想像できたのでしょうか?
今は当たり前のように受け入れてしまいますが、かなり先を行ってた内容だったんですね。

冒頭、契約書が見せられ、上杉の独白から始まります。
自分は騙されているという内容で、それまでの回想シーンへ飛びます。

読み手はこの契約は詐欺だという暗示がかかっているので、素直に文面を受け入れられず疑いながら読み進めることになります。
矛盾点は出てくるけど、どうなっているのか分からないもやもやのまま真相へ。

なるほど〜と思うのものの、オチの捉え方が分からず、まだもやもやしています(笑)
posted by みづき at 20:58| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月10日

パイロットフィッシュ

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角川書店より¥514で発売中

第23回( 2002年)吉川英治文学新人賞受賞

<あらすじ>
かつての恋人から19年ぶりにかかってきた一本の電話。アダルト雑誌の編集長を務める山崎がこれまでに出会い、印象的な言葉を残して去っていった人々を追想しながら、優しさの限りない力を描いた青春小説。
角川書店HPより引用)


初読みの作家さんです。

裏表紙には、
人は、一度巡り合った人と二度と別れることはできない−。
19年ぶりにかかってきた、かつての恋人からの1本の電話。彼女との日々が記憶の湖の底から浮かび上がる。世話になったバーのバスター、かつての上司だった編集長や同僚らの印象的な姿、言葉を交錯させながら、出会いと別れのせつなさと、人間が生み出す感情の永遠を、透明感あふれる文体で繊細に綴った、至高のロングセラー青春小説。
とあります。

きれいな文章でサラサラと流れるように読めます。

青春小説とあるのに、主人公の仕事がエロ本の編集者で風俗嬢が出てきたりと思っていた爽やかさとは違いました。

急にお話が過去に飛んだりするので、理解するのに時間がかかりましたが、全体的に透明感のあるお話でした。

ただ、好きかと聞かれるとそうでもないです。

過去に出会った人々との思い出や影響で今の自分があるというのは理解できますが、過去の自分の発言に囚われ続けるかな?と少し疑問に。
記憶は自分勝手にいいように解釈して歪んで残っていくものだと思っているので、この主人公には生きづらいなと感じました。

この作家さんが聖の青春も書かれてるんですね。
気になってる作品です。

取りあえずこの続編を読むかは考えます。
posted by みづき at 08:42| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月05日

虹を操る少年

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講談社より¥691で発売中

<あらすじ>
「光にメロディがあるの?」「あるさ。みんな、そのことに気づいていないだけさ」。“光”を“演奏”することでメッセージを発信する天才高校生・光瑠。彼の「光楽」に、感応し集う若者たち。しかし、その力の大きさを知った大人たちの魔の手が忍び寄る。新次元コミュニケーションをめぐる傑作長編ミステリ。
講談社HPより引用)


久しぶりの東野作品です。
ミステリーではなくファンタジー要素が大きい内容でした。

非現実的なお話しでしたが、リアリティも感じられ集中して読むことができました。

「光楽」という新たなジャンルでしたが、一度見てみたいものです。
音ではなく光という発想が面白いです。
太古の昔からあったという光瑠の話にもなんだか魅せられました。

ただ、なぜ熱中するのが主に若者なのか、中毒性があるのかの説明が足りなかったように思います。

光の話かと思いきや、人間の進化のお話しにまで展開し、さすが東野さんは造詣が深いなぁと感心しっぱなしでした。

終わり方が少し不自然というか突然だったので、もう少し続きが読みたかったです。
posted by みづき at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月23日

グロテスク(下)

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文芸春秋より¥723で発売中

第31回(2003年)泉鏡花賞受賞

<あらすじ>
就職先の一流企業でも挫折感を味わった和恵は、夜の女として渋谷の街角に立つようになる。そこでひたすらに男を求め続けて娼婦に身を落としたユリコと再会する。「今に怪物を愛でる男が現れる。きっと、そいつはあたしたちを殺すわよ」。“怪物”へと変貌し、輝きを放ちながら破滅へと突き進む、女たちの魂の軌跡。解説・斎藤美奈子
文芸春秋HPより引用)


下巻に入ってグロさは増していくものの、読む手は止められませんでした。

ユリコと和恵が娼婦になっていった過程がもっと語られているのかと思っていたのですが・・・。

美貌や頭脳や肩書がどれだけ素晴らしくても誰も幸せで満足できていないというのが皮肉ですね。
何かしら人より抜きんでているということは生きづらいのかもしれません。

こちらのお話ではユリコを殺した犯人は自白しています。
また、その犯人の半生がすさまじい。
その章を読んでいる間は自分は一体何の本を読んでいるのかを忘れ去れるほどに圧倒的な筆量でした。

すべての章は、インタビューなり日記なり手記など独白で構成されているので、意見の相違があったりと真相までは分かりません。

特に和恵の日記は読んでいて痛ましかったです。
ただ、彼女の気持ちは少しは理解できました。
ここに出てくる女性で誰よりも1番私自身に近いのは和恵でした。

転落していく人生を自覚していただろうし、それを止めるには死しかないとわかっていたはず。
だからこの2人の死が悲しいとは思えませんでした。
むしろ、それ以上の苦しみを味合わずに済んでよかったとさえ思います。

読むのにはかなりエネルギーを必要とする作品でした。
posted by みづき at 19:19| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月17日

グロテスク(上)

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文芸春秋より¥691で発売中

第31回(2003年)泉鏡花賞受賞

<あらすじ>
光り輝く、夜のあたしを見てくれ

名門女子高生から一流企業のOLとなっても、彼女が求め続けたものは? 女たちの孤独な闘いを描いた最高傑作、ついに文庫化!

名門Q女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ」。悪魔的な美貌を持つニンフォマニアのユリコ、競争心をむき出しにし、孤立する途中入学組の和恵。ユリコの姉である“わたし”は二人を激しく憎み、陥れようとする。圧倒的な筆致で現代女性の生を描ききった、桐野文学の金字塔。

文芸春秋HPより引用)


上巻だけで397ページもある超大作です。

実際の事件をモチーフに女性のヒエラルキーを描いた作品です。

主に出てくるのは主人公と圧倒的な美を持つ妹のユリコ、それに主人公の同級生の和恵の3人。
章によって語り手が変わり、上巻では学生時代の話が中心です。

私は女子高でもなければ女兄弟もいないので、異世界といったところ。
すべてのエネルギーの源は憎悪。
こんなにも悪意に満ちた世界があるのかと驚かされるばかりです。

妹のユリコと常に比較対象とされてきたコンプレックスの塊の姉。
高校生ですでに達観したかのような周囲の見下し方がすごい。
普通、高校時代は「いじわる」程度の悪で、意図的に相手を貶めてやろうという策略も全くない可愛いもののはず。

誰にも共感できないけど、分かる部分もあり、やはり女性特有の感情なのかと思い知らされたりもしました。

下巻ではユリコと和恵の転落人生と死に至るまでが描かれているはず。
気になります。
posted by みづき at 02:23| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月02日

人間失格

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角川書店より¥309で発売中

<あらすじ>
自己の生涯を極限までに作品に昇華させた太宰文学の代表作

無頼の生活に明け暮れた太宰自身の苦悩を描く内的自叙伝であり、太宰文学の代表作である「人間失格」と、家族の幸福を願いながら、自らの手で崩壊させる苦悩を描き、命日の由来にもなった「桜桃」を収録。

角川書店HPより引用)


「恥の多い生涯を送って来ました。」の名分で知られる太宰治の代表作。
ですが、今まで読む機会がありませんでした。
初の太宰作品です

自分の弱さを隠すために、人前では他人を演じる主人公。
確かに立派な人生ではないのかも知れませんが、人間臭さはとても感じました。

これは太宰自身の人生を投影したものということを読む前から知っていたせいもあって、どうしても太宰だとしか思えませんでした。

感受性が豊かで傷つきやすい繊細な人だったんだろうなぁという印象。

作品としては終始暗〜い雰囲気が漂っていて、面白さまではわかりませんでした。
もう少し大人になってから読んだら感じ方も変わるのかな?
posted by みづき at 19:54| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月21日

ALONE TOGETHER

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角川書店より¥555で発売中

<あらすじ>
孤独な魂が共鳴する時、物語は始まる――。

「私が殺した女性の、娘を守って欲しいのです」。3年前に医大を辞めた僕に、教授が切り出した突然の依頼。それが物語の始まりだった――。人と人はどこまで分かりあえるのか? 瑞々しさに満ちた長編小説。

角川書店HPより引用)


初読みの作家さん・・・じゃなかった。

271ページと長くはないのですが、読み進めるのに時間がかかりました。

主人公が持つ特殊能力についての言及が少なかったので、理解できぬまま終わってしまいました。
人とシンクロすることで心のうちを知ることができるのですが、決してそれは幸せではないということを伝えたいのだということはわかります。
柳瀬自身の家族を失った経緯などを詳しく厚みを持って描けば、サクラとの関わり合いも面白くなったんじゃないかと思います。

特殊能力ゆえか柳瀬が21歳とは思えませんでした。
医学部に入るも自分の知りたかった脳神経学の分野での問いに、答えがないとわかるとあっさりと退学。
どこか達観したところがあって好きにはなれませんでした。
posted by みづき at 01:38| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月26日

きよしこ

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新潮社より¥562で発売中

<あらすじ>
君はだめになんかなっていない。ひとりぼっちじゃない。それを忘れないで。

少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。どこにでもいる少年。転校生。言いたいことがいつも言えずに、悔しかった。思ったことを何でも話せる友だちが欲しかった。そんな友だちは夢の中の世界にしかいないことを知っていたけど。ある年の聖夜に出会ったふしぎな「きよしこ」は少年に言った。伝わるよ、きっと──。大切なことを言えなかったすべての人に捧げたい珠玉の少年小説。

新潮社HPより引用)


重松作品が続いております。

こちらは、吃音に悩む少年が、親の都合で転校を繰り返した中で出会っていく人たちとの交流を描いた連作短編集です。
小学生の頃は吃音であることをからかわれることに悩み、やがて成長すると今度は周囲の気づかいに悩んでいきます。

決してハッピーなお話しばかりではないのですが、少年が自分の力で一歩ずつ歩んでいく力強さを感じます。

久しぶりにほっこりできるお話しでした。
まさに重松節。

ぜひとも小学生の教科書に採用してほしい内容です。
posted by みづき at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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